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更新日:2025.05.09 / 掲載日:2025.05.09
【X7 BLACK-α】日独の職人技が融合した究極のブラックモデル!【BMW】

文と写真●ユニット・コンパス
日本の美意識と日独のクラフトマンシップが融合した特別なモデルが誕生しました。2025年5月8日、BMWのフラッグシップSUVであるX7をベースに、特別な装備を施した日本専用の限定車「X7 BLACK-α」が限定100台で登場。さらにそのうち9台(ベースはX7 M60i xDrive)は、専用装備として漆蒔絵/螺鈿装飾トリムと特別なウール製フロア・マットを採用しています。
今回は、日本専用限定車の発表を記念して開催されたトークショーの模様をレポート。開発に携わった職人やゲストとして登壇した演出家の宮本亞門氏のお話をお届けします。
合計100台! 黒にこだわったX7の日本専用限定車

究極の黒を目指した『X7 BLACK-α』は、「X7 xDrive40d BLACK-α」(1625万円)が90台、「X7 M60i xDrive BLACK-α」(2140万円)が9台生産。共通する装備は、BMWインディビジュアルスペシャルペイントの「フローズン・ブラック・メタリック」のボディカラーと「モメンタムファクトリー・Orii」による専用バッジ、そしてαの文字が浮かぶドア・プロジェクターとなっています。「X7 M60i xDrive BLACK-α」の残り1台は「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の優勝副賞として贈呈予定とのこと。
トークショーでは、「X7 M60i xDrive BLACK-α」に採用された専用装備品の製作者が登壇し、開発にあたってのこだわりなどを聞くことができました。
黒は日本においては人気の高いボディカラーで、黒をテーマにした限定車は数多く存在します。しかし、「X7 BLACK-α」の企画を担当したBMWジャパン ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャーの御舘康成氏は、このモデルを単なる黒のパーツを増やした仕様にしたくなかったと語ります。
「クルマが電動化したことで、今後スペックや機能を誇るモデルが色々なブランドから登場してくることが予想されます。そのなかでBMWは、スペックだけで表現できない体験や世界観にこだわっていきたい。BMWの駆けぬける歓びとは、性能や数値ではなく、ひとの心に触れる体験そのものです。X7 BLACK-αでは、日本においてその価値をさらに高めるために、日本の伝統工芸という優れた文化を採用し、『究極のブラック・エディション』を追求しました。世界的に、黒の限定車というのは珍しい。黒のなかに、上質さ、美意識、エレガンスを感じるのは日本人の独特の文化なのです。X7 BLACK-αは、究極の黒であるフローズンブラックに身を包んで、日本における黒の美にこだわることで、想像を超えた仕上がりになりました」
限定車の実車を確認した宮本亞門氏は、その仕上がりについて、「(X7 BLACK-αの車内にいると)まるで包み込まれるような、特別な感覚がありました。ひとつのアート作品として飾っておきたくなるような感動を覚えました」とコメントし、日本独自の美意識が凝縮されたX7 BLACK-αを賞賛しました。

日本を代表する職人たちが手がけた特別なインテリア

漆芸家/蒔絵師の服部一齋氏が手がけた「漆蒔絵/螺鈿装飾トリムパネル」は、「時つ風」という風の表現をモチーフにした図案。「時つ風」とは、ある時期や季節に吹く心地よい順風だという。パネル一面を塗りつぶすやり方ではなく、ピアノブラックを活かしながら装飾を施しているのが特徴。服部氏は、製作にあたりモダンなデザインとなること、工業製品のような精緻な仕上がりになるよう心がけたとのこと。

足元を飾るのは、迎賓施設や劇場などの織物を手がける京都の老舗織物メーカー「川島織物セルコン」によるフロア・マット。手仕事の風合いを再現できる技法を開発し、黒色だけを使いながら柄を浮き立たせるデザインを完成させたとのこと。天然のウール素材を使いながらも自動車用品に求められる耐久性や難燃性を実現させていて、その手触りや踏み心地は格別。宮本氏は「まるで足が浮いているような感覚」と表現していました。






心が動くような特別な体験ができるクルマを目指して

取材を通じて、ドイツと日本のクラフトマンシップが融合した「X7 BLACK-α」は、BMWのラグジュアリーブランドとして美意識や姿勢を表現したモデルだと感じました。また、BMWジャパンの御舘氏は今後の展開についても語り、「これからもBMWユーザーの心を動かすような特別のモデルを手掛けていきたい」と強い意欲を伝えてくれました。クルマを通じて人生がより豊かになるような体験ができる。それこそが真のラグジュアリーカーなのでしょう。今後どのような形での特別なモデルが登場するのか、いまから楽しみです。